トピックス

Topics

「NY発祥の売らない百貨店」が日本に進出!

2022/02/24

コラム

「NY発祥の売らない百貨店」が日本に進出!

1.NY発の話題のショーフィールズについて

SHOWFIELDS(ショーフィールズ)は、世界で最も面白いお店(The Most Interesting Store in the World)をコンセプトとして事業展開を行う、米国・ニューヨーク発祥のリテールベンチャー企業。

 

実店舗を持たないD2C(Direct to Consumer:中間流通業者を挟まずに、自社ECサイトを通じて製品を顧客に直接販売する事業者)に対して、以下のようなサービスを提供する「体験型ストア」を展開しています。

 

< ショーフィールズが提供するサービス内容 >

  • 顧客第一主義のCコマース

Cコマース(Conversational Commerce)とは、日本ではチャットコマースとも呼ばれ、チャットアプリなどの機械媒体などを通じて、企業・サービスと消費者がAIと対話しながら対話しながら商品の購入や旅行などの予約ができるサービスの提供。

 

  • 実店舗の運営に必要なインフラ一式(店舗ブース、店舗ブースデザイン、接客スタッフ、POSシステムなど)の提供

 

  • 著名なアーティストによる、各ブランドの世界観を体現した店舗ブースデザイン、共有スペースデザインなどの提供。

 

  • AIカメラなどの、独自のデジタル技術を通じた顧客分析手法の提供。

 

  • 実店舗やオンラインにおける、マルチな販売チャネルの提供。

 

ショーフィールズは、D2Cブランドとして活躍する企業に対して、以上のようなサービスを提供しています。

 

また、SHOWFIELDS(ショーフィールズ)は、2018年末にニューヨーク・ノーホー地区にショッピングセンター1号店をオープン。

2020年秋には、マイアミに2号店を開業しました。

 

実店舗を持たないD2Cブランドやアート作品などを集め、それぞれの世界観が体験できるのが大きな特徴です。

置いてある商品を、ECで購入できる「体験型ショールーミングストア(RaaS=Retail as a Service:小売業のサービス化)を提供しています。

 

そんなショーフィールズは、体験型ショールーミングストアの先駆け的な存在として、世界から注目を集めてきました。

現在では、マイアミのほかにもロサンゼルスにも店舗を展開していて、合計3店舗で経営しています。

2.ショールーミングとは

ショールーミングストアとは、実店舗で商品を確かめた後に、ECサイトで実際に購入できるストアモデルです。

 

消費者は、商品を購入する際に、実店舗に足を運んで素材の質感や価格帯、機能性などを確かめることができます。

気に入ったら、実際にショップECサイトやWebサイトにアクセス。気に入った商品を購入する消費者の行動です。

 

ショールーミングストアは、ショールーミングとも呼ばれます。

消費者がショールーミングをおこなう行動原理や理由は、購入を検討している商品の機能や価格帯、口コミ評価などのさまざまな情報を集めるためです。

そのため、ショールーミングを求める消費者は、ネットショップでの購入が目的ではありません。

実際に店舗で商品の情報を確認してから、購入するかしないかを判断するために実店舗に向かうのです。

 

一方、ショールーミングとは真逆の行動は、「ウェブルーミング」と呼ばれます。

ウェブルーミングとは、インターネットで商品の情報収集を行い、実店舗で直接商品を購入する消費者行動のこと。

 

さまざまな端末が普及したことで、消費者の情報取得量が飛躍的に向上しました。

そのことにより、ネット情報でも購入できるような現在の状態になっています。

 

しかし、豊富な情報に触れても、実際の商品に触れてみたり色合いを確かめてみたり、実店舗ならではの体験型のコンテンツが完全に消えてなくなることは考えられません。

 

そのため、店舗で購入しない消費者を諦めるのではなく、オンラインも含めたウェブ界隈を含めたトータル的な施策が重要になってくると言えるでしょう。

3.NY発の「売らない百貨店」が2022年の夏に日本初上陸

そんな、時代の最先端を走り続けながら、トレンドやポップカルチャーを発信する、世界で最も勢いのある都市ニューヨークで誕生したユニークなビジネスモデル「ショールーミング」。

「売らない百貨店」というキャッチーな事業形態で、小売業界で注目を集めているのが「SHOW FIEELDS(ショーフィールズ)です。

 

その、「売らない百貨店」を運営するショーフィールズが今夏にも、日本に初上陸することが発表されました。

また、1月17日付日経朝刊やTV番組ガイアの夜明けでも「売らない小売業店の代表格が日本初参入」と報じています。

 

ショールーミング店舗では、商品販売を目的にしません。

来店客に、衣類品や化粧品などを試してもらう体験型の店舗を目指しています。

アメリカでは、新型コロナウイルスの影響で、老舗百貨店の経営破綻が大きな問題となっていました。

 

そんな中でもショーフィールズは、「売らない百貨店」の代名詞的な存在として、コロナ禍に関係なく急成長を遂げています。

2020年のコロナ以降、日本を含めた世界中で、消費の中心が実店舗からインターネット上に移る動きが加速。

日本でも、小売業界の店舗の在り方が変わりつつある状況は否めません。

4.2022年夏からの展開していくショールーミング内容

ショーフィールズは、まず2022年の夏までに、売り場面積150〜300㎡ほどの小売店を東京都内にオープンさせることを発表しています。

現在の候補地としては、人流が比較的多い「銀座」「表参道」「原宿」などが候補として挙げられている状況。

 

半年ほどのプレオープン(試験運用)した後に、2022年中にアメリカ本店と同じ規模の1,200㎡を目安にした常設店を出店。

出店場所としては、ショッピングモールなどの商業施設内や、路面店の跡地などに出店する予定。

 

将来的には、都内をはじめ10店舗以上の国内展開を目指しています。

 

なお、肝心のショーフィールズの収益源として、サービスの利用には「出店料」と「来店データの提供」が必須です。

ショーフィールズは、店内に多くのAIカメラを設置して、来店客の行動を分析しています。

 

どの商品の前に、どのくらい滞在したのか?どの商品に何回触れたのか?などの消費者の行動心理や関心度合いをデータ化。

出店企業の商品開発に活かす取り組みが進められています。

5.新業態に取り組む企業とショーフィールズで出店するブランド

ショーフィールズのサービスを利用して、ショールーミングに出店するブランドは、旧来の百貨店ブランドと一線を画す必要があります。

衣類ブランドやビューティーブランドを中心に、D2Cのビジネスモデルに特化した20ブランドに出店を募る予定。

 

また、オープンしたら来店客には、1ヶ所で複数のネット用品を試着・試供できるメリットがあります。

 

今後の課題としては、「どのようにしてネット通販企業の出店者を探すのか」などの課題が出てくるのではないかという予想がされています。

これらのように、国内小売業界ではこれまでになかった、業種形態を変化させる動きなどの、大きな転換が特徴的です。

 

昨今では、「ダイマル」「マルイ」などの大手百貨店をはじめ、さまざまな商業施設が新たな事業展開を試みています。

大丸松坂屋百貨店・ブランドでは、他の百貨店に先駆けていち早くショールーミング化の流れに乗りました。

 

これはまだ、今後発生するであろう百貨店業界を取り巻く大きな流れの序章に過ぎません。

小売業界に直近で起きているトレンドの中では、当面の間は注目の流れの1つになるでしょう。

6.ショールーミング化以外の百貨店の変化

明日見世のスペースは、大丸東京店4Fのイベントスペースに配置されています。売り場面積は約100㎡。

什器や装飾アイテムには、リサイクルできる素材やユーズド家具が組み合わされて、見事に明日見世の世界観が店舗デザインされています。

 

4Fには、エンポリオアルマーニやエポカ、ユナイテッドアローズなどのエレガントなウィメンズフランドやセレクトショップが立ち並んでいます。

セレクトショップフロアということもあり、イベントスペースではウィメンズファッションブランドのポップアップ(イベント・期間限定出店)が大半でした。

 

これらを改善して、明日見世ではテーマに合わせてファッションからコスメ、生活雑貨までの幅広いラインナップを展開して営業中です。

 

 

また、小売業界に浸透している、ニーズに合わせて従来の業務形態から変化しようとする動きは、ショールーミング化にもあります。

 

その1つが、大丸松坂屋の「保育園運営」の動きです。

ダイマルの保育園運営事業の話題は、コロナ前の2018年に発表されたものですが、当時は百貨店業界関係者の間では、大きな驚きの声が上がりました。

 

大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ.フロントリテイリングは、2019年4月から首都圏で認可外保育施設を開園。

グローバルで活躍できる人材を育てる保育園として、「英語」「運動」「知育」の3本柱に注力して運営されている保育園です。

東洋経済:大丸松坂屋が「保育園運営」に挑むワケ

 

同じく、ダイマルは2021年3月にも新しいサービスを展開。

ファッションのサブスクリプションサービス、「AnotherADress(アナザーアドレス)」をスタートしています。

株式会社 大丸松坂屋百貨店「AnotherADress」公式サイトl

 

これらのように、小売業界では次々と新業種形態が誕生しています。

7.今後の日本の小売業界

総務省によると、2021年11月のネット通販利用世帯の割合は約54%でした。

1年前の2020年11月に比べて、約3ポイントほど上昇した結果となっています。

 

コロナ禍という後押しもあって、EC売り上げが拡大する中で、小売業界では実店舗の存在意義がより深く、強烈に問われるような時代となってきました。

 

それを受けて、販売よりも体験型やブランドとの出逢いに重きを置くRaaSへの注目は、日本国内でも、この2年ほどで大きく高まっている状況。

 

ショーフィールズ以外にも、2020年8月には、米国シリコンバレー発の体験型店舗「B8TA(ベータ)」が日本に初上陸しています。丸井グループや三菱地所などの出資を受けて、新宿・有楽町に2店舗を同時オープン。

 

2021年11月には、渋谷に3店舗目を出店。カフェ併設、食品やビューティー分野への注力など、日本の独自路線を模索している最中です。

 

丸井グループや大丸松坂屋百貨店でも、次々と「売らない店づくり」が始められており、リアルとデジタルを融合したサービスが進んでいます。

厳しい状況が続いていますが、今回のような小売店業界の新しい事業モデルに期待をしたいです。

一覧へ戻る

お役立ち資料

資料請求

MJYの会社概要、費用、サポート内容についての資料はこちらから。